ジェロニモ!株を主戦場にしたら、半年で死にそう!!

生き残るためにできること。デイトレ実践・銘柄分析・マーケット速報

復活のスケジュールF!変わるアメリカの民主主義。トランプは独裁者か

2025年、トランプ大統領が再びホワイトハウスへと返り咲きました。
その就任直後、最初に行ったのは「相互関税政策」これにより、市場はパニックになり全世界の金融市場、為替市場に大きな打撃を与えました。

そして、現在は関税措置の90日間延期の発表により、一時的に平穏を取り戻したように見えます。

世論調査でも、関税政策への支持・不支持は拮抗していますが、インパクトの大きさゆえに「トランプ政権が何をするのか」に対する関心が高まったのは間違いありません。

今、注目されているのが「スケジュールF」の再導入です。

これは単なる人事改革にとどまらず、アメリカの民主主義の根幹にかかわる問題です。

この記事では、「スケジュールF」の仕組みや背景、そして今後の影響についてわかりやすく解説していきます。


目次


スケジュールFとは?

「スケジュールF」は、2020年10月にトランプ前政権が導入した大統領令に基づく新しい官僚区分です。
対象は政策決定に関与する連邦職員。従来の公務員制度では解雇が難しい彼らを、「大統領に忠実であること」を条件に解雇・任命しやすくするための制度でした。

これにより、政権の方針に合わない、あるいは「不忠実」と見なされた場合、理由を問わず迅速に解雇できる体制になります

この制度が導入されれば、政権の意向に従わない官僚は即座に排除され、忠実な人物だけが残ることになります。


トランプ政権はなぜスケジュールFを再導入したのか?

トランプ氏は一貫して、アメリカの官僚制度を「ディープ・ステート(影の政府)」と呼び批判してきました。
彼の主張によれば、連邦政府の職員たちは選挙で選ばれていないにもかかわらず、実質的に政権の運営を妨害しているとされています。

スケジュールFは、こうした「抵抗勢力」を一掃し、よりスムーズに政策を実行するための手段です。
この制度によって、最大で5万人の連邦職員が解雇対象になると見られています。

詳細

  • トランプ政権は約5万人(連邦職員の約2%)を「スケジュール・ポリシー/キャリア(旧スケジュールF)」に再分類する方針を発表しました。
  • この再分類により、対象職員は従来の公務員保護(懲戒処分の事前通知、政治的解雇からの保護、業績基準、上訴権など)を失い、「随意雇用(at-will employment)」となります。

人件費の課題

スケジュールFの話題を見たときに、私が気になった点があります。

それは、スケジュールFを発動することで、人件費削減につながるのか?という点です。

トランプ政権は、支出の抑制を通じてアメリカの財政改革を進めています。
その一環として、スケジュールFが「公務員の再整理」によるコスト削減策になり得るのでは?という仮説を持ちました。

トランプ政権は、支出を抑えることでアメリカの財務体制の改革を推進しています。
その一環として、機能する可能性はないかと考えました。

現在、大手企業ではAIや経済環境の変化を背景に、人材の再整理が進んでいます。
スケジュールFの動きと、企業におけるリストラの実例を以下にまとめました。

施策 目的・背景 具体的な手法 主な違い
トランプ政権 ・政策遂行
・忠誠人事
・効率化
・公務員保護の剥奪
・随意雇用化
政治的な動機が強い
日産・ゴーン ・経営危機
・コスト削減
・大規模リストラ
構造改革
企業再建が主目的
Amazon/Google ・効率化
・AI投資
・コスト削減
・管理職削減
・自動化
・リストラ
技術革新・市場変化への対応

日産のカルロス・ゴーン改革では、経営危機の中で大規模なリストラや工場閉鎖を断行し、コスト削減と効率化を実現。その結果、日産は一時的に業績を回復させ、世界市場での競争力を取り戻しました。

AmazonGoogleでも、AIへの投資やパンデミック後の過剰雇用の是正を目的に、大規模な人員整理が進められています。これらの企業にとっては、利益確保や経営の効率化、技術革新への適応が主な動機です。

一方、トランプ政権の人員整理(スケジュールF)は、コスト削減よりも「忠誠人事」や「政策遂行の迅速化」といった政治的な意図が色濃く、企業の合理化とは異なる側面があります。


政府の人件費と民主主義

企業・政府を問わず、人件費は大きなコスト要因です。効率化や最適化が求められる点では共通しています。

しかし、政府の場合は「中立性」「継続性」「公共性」といった視点が欠かせません。単純なコスト削減だけでは済まされず、制度的なバランスや民主主義の根幹に関わる問題が発生する可能性があります。


民主主義と統治効率、どちらを重視するべきか?

ここで問われるのは、「忠誠心」を重視するあまり、「制度としての民主主義」が失われるのではないかという点です。

通常、行政の安定性を保つために、公務員には一定の身分保障があります。
しかしスケジュールFでは、それが撤廃される可能性があるため、「権力の集中」が加速するという懸念があります。

ポイント:スケジュールFは、大統領が行政機構を完全に掌握できる可能性を持つ危険な制度とも言えます。


トランプは独裁者なのか?

スケジュールFは確かに行政改革の一環かもしれません。
しかし、問題はその“使い方”にあります。

もしこれが、大統領に批判的な官僚を排除する“武器”として使われるならば、それは明らかに民主主義の逆行です。

とはいえ、トランプ氏を全面的に否定するのも早計です。
既存の制度では行き届かなかった部分を改革し、効率化を進めようとしている面もあります。

つまり、スケジュールFをどう評価するかは、その制度を動かすリーダーの器にかかっているのです。

極論にはなりますが、中国やロシアのような共産主義国家の専制政治では、トップの意見が迅速に社会に影響を及ぼします。

トップが最高の指導者だった場合、この制度は素晴らしい機能を発揮すると考えています。

しかし、トップが間違った判断を下した場合、社会は混沌とした情勢となる可能性を秘めています。


まとめ:私たちは「統治の効率」より「民主的手続きを」重んじるべきか?

スケジュールFの再導入は、単なる人事制度の変更にとどまりません。
これは、「誰が国家を動かすのか」という根本的な問いを投げかけています。

選挙で選ばれた大統領が、選挙で選ばれていない官僚たちよりも強い権限を持つべきなのか。
あるいは、制度的なチェックとバランスを優先すべきなのか。

この議論に明確な答えはありません。
しかし一つだけ確かなのは、制度そのものよりも、それを動かす人間こそが民主主義を支える存在だということです。

そして今、アメリカはその「器」を試されています。

私は経済大国アメリカが、このまま終わってしまうとは考えていません。
トランプ政権の1手1手にひやひやさせられますが、今後の動向を注視していきます。