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フジクラ急落は「悪決算」ではない。PER80倍が崩れた理由を考える

フジクラがストップ安張り付き

2026年5月14日フジクラ(5803)の決算が発表されました。

日本を代表する電線・電子部品メーカーであり、世界的にも高いシェアを持つ企業です。

決算前までのフジクラはデータセンターの急増、前日までに発表になった古河電工、米国コーニングの好決算などを受けて、PER80倍近い価格まで株価を上げていました。

決算発表を受けて、値動きは…決算発表直後にストップ安へ張り付くという衝撃的な展開になりました。

現在の日本市場はキオクシアが1日2兆円規模の売買代金を記録するなど、現在の日本市場は強烈なモメンタム相場になっています。

国内だけでなく海外からも多額の資金が入っており、ボラティリティが大きくなっているのが現状です。

そんな中で、キオクシアが圧倒的な売買代金を記録していますが、市場2位の出来高を誇っているのがフジクラでした。その人気株がストップ安に張り付いたのは衝撃が大きかったと思います。

前期は過去最高益。
営業利益も高水準。
普通に考えれば「良い決算」です。

それなのに、なぜここまで売られたのでしょうか?

今回の下落を見ていて感じたのは、

「悪決算だったから売られた」のではなく、

「市場が期待していた未来に届かなかった」

ということだと感じます。


「業績が良い」のに暴落する理由

株を始めたばかりの人だと、

  • 過去最高益

  • 増益

  • AI関連

なのに暴落するのが理解できないかもしれません。

しかし、株価は「今」ではなく「未来」を見ています。

今回のフジクラは、PER80倍近くまで買われていました。

これは普通の製造業ではかなり異常な水準です。

PER80倍というのは、

  • 今後も高成長が続く

  • AI需要が爆発する

  • ハイパースケーラー需要が継続する

  • 利益がさらに大きく伸びる

という期待込みの価格です。

つまり、「今の業績が良い」のは当たり前

という前提で買われていたわけです。

PER80倍で許されているのは、大型株では

  • イビデン(4062)81.6倍
  • さくらネット(3778)141.4倍

など、市場の期待を一身に背負った銘柄ばかりです。このような銘柄はひとたび下落に転じると大きく値を落とす可能性を秘めています。


古河電工の決算で期待値が上がりすぎていた

今回重要だったのは、先に
古河電気工業(5801) が強い決算を出していたことだと考えています。

古河電工は決算後に急騰。ストップ高まで買われ、翌日も10%の上昇を見せて強さを見せつけました。
それにつられてフジクラも大きく上昇したのが、2日前の出来事です。

つまり市場は、「フジクラはさらに強い数字を出してくる」と期待していた可能性があります。

その状態で今回の決算。

営業利益は増益予想ですが、コンセンサスを大きく下回りました。

その結果、「期待していたほどではない」という評価になったのです。

参考として、古河電気工業のPERは49.1倍です。


「悪材料出尽くし」ではなく「好材料出尽くし」では?

SNSや掲示板では、「悪材料出尽くしで反発する」という意見も多く見かけました。

しかし、個人的には少し違和感があります。

なぜなら、今回のフジクラは直前まで上場来高値を更新していたからです。

つまり市場は、

  • AI需要継続

  • ハイパースケーラー拡大

  • 超強気決算

をかなり織り込んでいました。

これは「悪材料を織り込んでいた相場」ではありません。

むしろ、「最高レベルの期待を織り込んでいた相場」です。

だから今回起きたのは、

「悪材料出尽くし」ではなく、「好材料が足りなかったことによる失望」

に近いと思っています。


「アイドル理論」は半分正しくて半分間違っている

今回、SNSでこんな例えが話題になっていました。

「アイドル(フジクラ)は悪くない。
勝手に期待値を上げたオタク(投資家)が暴れているだけ」

一見うまい例えです。

しかし、実際はもう少し複雑だと思います。

そもそも、その“オタク”がいたから株価はPER80倍まで上昇していました。

つまり、熱狂が株価を押し上げていたわけです。

そして今回、

「自分が思っていたアイドル像と違った」

と感じた人たちが一斉に離れた。

これが現実に近い気がします。

株価は業績だけでは動きません。

  • 期待

  • 熱狂

  • モメンタム

  • 群集心理

で大きく動きます。


「チンパンジーが投げるバナナ」という比喩

今回、ある記事で使われていた

「モメンタムチンパンジーが投げるバナナ」

という表現も話題になりました。

かなり過激な表現ですが、今回の値動きを見ると、言いたいことは分かります。

決算発表直後、フジクラはほぼ一瞬でストップ安張り付き。

逃げる時間がほとんどありませんでした。

これは通常の下落というより、

「需給崩壊」

に近い動きだったと思います。

特に怖いのは、ストップ安で終わったということです。

つまり、

「売りたい人がまだ売れていない」

可能性があります。


明日以降、本当に簡単に戻るのか?

個人的に気になっているのはここです。

確かに、

  • 「6000円は安い」

  • 「押し目買い」

  • 「AIは終わっていない」

という考えも理解できます。

しかし、忘れてはいけないのは、

フジクラは1か月前には5700円付近だった

ということです。

つまり、今回暴落したとはいえ、まだ短期間で大きく上昇した位置にいます。

しかも、

  • 7000円以上で掴んだ人

  • 高値更新で飛び乗った人

  • 「決算でさらに上がる」と思っていた人

も大量にいるはずです。

そう考えると、仮に反発しても、「助かったから売りたい」という戻り売りはかなり出やすい気がしています。


フジクラは終わったのか?

もちろん、私は「フジクラが終わった」とは思っていません。

AI需要や光ファイバー需要自体は、今後も拡大していく可能性があります。

ただ、市場が今後問うのは、「フジクラがPER80倍を維持できるほど圧倒的なのか?」

という部分です。

今回の決算は、その期待に対して市場が初めて疑問を持った瞬間だったのかもしれません。


まとめ

今回のフジクラ急落を見て感じたのは、

株価は業績だけではなく、

  • 期待

  • 熱狂

  • モメンタム

  • PER

  • 需給

で大きく動くということです。

そして、期待が大きすぎた銘柄ほど、崩れる時も極端になります。

今回の下落が一時的なものなのか。
それとも、AI関連の期待修正の始まりなのか。

明日以降の出来高と値動きがかなり重要になりそうです。

今回の下落は、単なる「決算ミス」ではなく、AI相場における“期待値”の怖さを象徴する出来事だったのかもしれません。